Climategate、IPCC-Gate後の世界

−− 気候変動に関する国際会議 −−

今年の5月、シカゴで『第4回気候変動に関する国際会議(ICCC)』が開かれました[1]。国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)と名前こそ似ていますが、ICCCは人為的CO2温暖化説に否定的な研究者(懐疑派)が中心となっている国際会議で、アルファベット一文字違いながら中身は随分と異なります。
ICCCは700名を超える出席者で盛況だったようですが、日本のメディアは取り上げないでしょうから、気候変動の原因と温暖化詐欺のトピックに焦点を絞って紹介します。ICCCの講演はオンラインで録画を見ることができますし[2]、論文として発表されている物も多く、一般向けに分かり易く解説したBlogも幾つかあるようです(ほとんどが英語ですが)。

まず最初に現在の地球の気候変動の状況を確認しておきますと、地球の平均気温は'98年を境に寒冷化傾向を示していることが複数の観測で報告されています(Fig.1)。今年に入ってからはエルニーニョ(南方振動)の影響で気温が上がっているものの一時的な現象であり、今月はエルニーニョが収まる兆しも出ていますし、今後も寒冷化が続く可能性が高いと言われています。


Fig.1: 世界気温の観測結果(ピンク:Hadey CRUT 青:MSU)とCO2濃度(左図)。観測された気温と、IPCCによる予想(右図)。

Climategate事件[3]で炎上したイーストアングリア大学・気象ユニット(CRU)のPhil Jones所長自身が、

「過去15年間で有意な地球温暖化は起きていない」

と認めていますが[4]、21世紀に入って地球が温暖化していないことはCO2温暖化説を支持する研究者(脅威派)に大きな衝撃を与えており、この事実だけでCO2温暖化説は揺らいでしまいます。脅威派の大御所たちですら、

「大気中の水蒸気濃度の減少がCO2による温暖化を相殺している[5]」

となんとも苦しい言い訳を始めたり、

「ガンガンCO2を排出しているはずなのに、CO2濃度はあまり上がっていない[6]」

と、大気中CO2濃度が気候変動の結果であって原因でないこと[7]を暗に認めるような論文も出てきました。

それはともかく国際会議に話を戻すと、ICCCでは現在の寒冷化がいつまで続くか解明することが重要なテーマの一つとなっており、ウェスタンワシントン大学のDon J. Easterbrook教授は、地球では過去500年に亘って25〜30年で温暖化と寒冷化が交互に繰り返されてきたことを説明し、地球の気候変動は“Pacific Decadal Oscillation(PDO)”で説明できるのではないかと発表しました。PDOは“太平洋十年規模振動”と訳されますが、約20年周期で起こる太平洋各地の海面水温や気圧の変動で、そのメカニズムはあまりよく分かっていません。Easterbrook教授によると、地球の温暖化・寒冷化の時期とPDO指数を調べるとFig.2のように大変良く一致しており、PDOが'99年に低温モードに入ったことから20〜30年は寒冷化が続くのではないかとのこと。


Fig.2: PDO (太平洋十年規模振動)と、過去の温暖化・寒冷化の時期。

海洋の熱容量は大気の1,000倍ですから、太平洋の海面水温の低下(上昇)が地球全体の平均気温を下げる(上げる)という説明は自然だと思います。Easterbrook教授はPDOと太陽活動との間に強い相関があることを指摘した上で、

「太陽活動、PDO、地球の温暖化・寒冷化にはそれぞれ相関がある」

と結論付けていました。
それに対してメキシコ国立大学のVictor Manuel Velasco Herrera博士は、現在、太陽活動は著しく低下しており、2030〜40年頃に太陽活動は最小になるとの予測に基づき、現在の寒冷化が今後60〜80年続くと主張、21世紀が小氷期となる可能性について言及しました。
ロシアの プルコヴォ天文台のHabibullo Abdussamatov所長も、過去7,500年の間に起きた18回の小氷期は日射強度の低下とそのフィードバック(氷面積の増加による反射能の増加、水蒸気濃度の低下による寒冷化)でほぼ説明できると提唱し、現在のサイクルから計算すると地球は2014年頃に小氷期入りするのではないかとの見解。
また、ハリケーンが専門のWilliam M. Gray教授(コロラド州立大学)は、過去140年の温暖期が熱塩循環(深層の海洋循環)の変化と一致していることに注目し、地球の気候変動の主因は熱塩循環であるとの説。海洋が気候変動の主因と考えるのはEasterbrook教授と似ていますが、Gray教授も現在の寒冷化は数十年続くと見ているようでした。

私見ですが、太陽活動が地球の気候変動に一番影響していることは、地球温暖化と時期を同じくして火星など他の惑星も温暖化していたことから疑いないと思います[8]。ただそのメカニズムについては様々な議論があり、例えばPDO、熱塩循環、フィードバックの他にもスベンマルク効果(太陽活動低下による宇宙線量の増大、そして宇宙線による雲生成の増加)なども提案されており、仮にEasterbrook教授が主張するようにPDOと地球の気候サイクルとの間に強い相関があったとしても、必ずしもPDOと気候変動との間の因果関係を意味するわけではないことに留意する必要があります。初めから他の可能性を排除してしまっては、CO2温暖化説と同じ間違いを犯してしまいますから。
現在の地球が温暖化していないことには多くの科学者が同意していますが、今後、どうなるかについては意見が分かれています。温暖化より寒冷化の方が人類に与える被害は甚大なので重要な問題ですが、1998年のエルニーニョによる一時的な気温上昇を除くとここ数年の寒冷化は0.4℃/100年と緩やかなものであり、個人的には小氷期を心配する程でもないと考えています。ただ、現在の太陽活動は11年周期のリズムが崩れており、太陽黒点数も著しく減少するなど、マウンダー極小期(1645〜1715年の小氷期)との類似性も指摘されています[9]。

さて温暖化詐欺に話を移すと、アメリカの気象予報士で有名なブロガーAnthony Watts氏は、彼が突き止めた温暖化詐欺の手法を報告。以前の私の日記でも紹介しましたが、市民が協力して調査を行ったところ、アメリカの気温観測ステーションの90%がいつの間にかアスファルトの駐車場やエアコンの排熱口の近くなど暑い場所に置かれており、通常より1〜5℃も高めの気温を叩き出していました。加えてアメリカ海洋大気圏局(NOAA)はデータ均質化やスムージングなどの“補正”を行い、ヒートアイランド現象を誇張することで地球温暖化を演出しているとWatts氏は発表。
続いてアメリカ大気河川改善研究所のCraig Loehle博士は、NOAAの気温データからヒートアイランドの効果を取り除くと『59年周期の温暖化・寒冷化変動』が現れ、Easterbrook教授の指摘したPDOで地球の気候変動を説明できると発表。CO2温暖化説に拘らなければ、地球の気候変動を単純かつ自然に説明できてしまうわけです。
そしてカナダの気象学者のJoseph D'Aleoは、NOAAとアメリカ航空宇宙局(NASA)のデータ不正について報告。NOAAは温暖化を示す観測ステーションだけを選別しているようで、NOAAのデータベース(GHCN)に登録されているステーション数は、1980年と比べて2007年には1/3以下にまで不自然に減少しています[10]。ステーション数が減少したのはNOAAによると、

「データ取得に時間がかかるものもある」

だそうですが[11]、20年前のデータが未だに更新されていないのは、あまりに時間がかかり過ぎでしょう。


Fig.3: GHCNが気温算出に利用している観測ステーション数(黒)と、アメリカの平均気温(ピンク)。1980年以降の急激なステーション数の減少と反比例して、アメリカの平均気温が急上昇している。

Anthony Watts氏も説明していましたが、NOAAは謎の“補正”を施すことで寒冷化しているステーションのデータをあたかも温暖化しているかのように書き直す“マジック”に成功しています。一方NASAは世界の気候変動を算出する際にNOAAのデータを利用していますが、より暖かい場所に設置されたステーションのデータを寒い地域のものとして補ったり、NOAAに負けじと更なる地球温暖化への挑戦を日夜続けています。
世界気温の4つの観測データベースはCRU、GHCN(NOAA)、GISS(NASA)、気象庁ですが、CRUもGISSもNOAAのGHCNのデータを元に構築されており、残る気象庁も2000年以前はGHCNを利用していたため、GHCNのデータが腐っていた以上、結局どれも信用できないことになります。データ捏造に対して脅威派の研究者がよく使う、

「4つの独立した観測結果が全て同じ温暖化傾向を示している」

との反論は脆くも崩れ去るわけですが、現在、信頼できる過去の気温データベースがないことは大変な問題だと思います。世界に与えた影響は莫大で、捏造に関与した科学者の罪は、あまりに重い。
また、バージニア大学を引退したFred Singer翁は、衛星観測の結果と照らし合わせ、NOAAが不自然な観測ステーション選別をせず、かつ怪しげな補正も行わなければ、1979〜'97年で温暖化はほとんど起きていないんじゃないか、ということを言っていました。

懐疑派のトークばかり取り上げましたが、ICCCには脅威派の研究者も招待されており、コロラド州立大学のScott Denning教授もスピーチを行いました[12]。懐疑派の国際会議で、脅威派の研究者が温かい拍手で迎えられ、和やかに議論が進行する。当たり前のことのようですが、もし逆の立場で懐疑派の研究者が脅威派の会合に出かけたら、無視されれば良い方でしょう。科学とは無関係の誹謗中傷を浴びせられることも珍しくないです。

『地球の気候変動は自然現象で、人間の手でコントロールすることは出来ない』

当初は多くの研究者がそう考えていたのにも拘わらず、CO2温暖化説は政治やメディアを利用して多額の予算獲得に成功し、学会をコントロールするに至っています。自然現象ならほとんど予算が付かないですが、“人為的”温暖化なら多くの人々が注目しますから。学会、政界、国連、金融、そして産業界の思惑が複雑に絡み合い、地球温暖化は科学的に間違っていても、もはや間違いだと認められない状況になってしまいました。雑音から隔離し、今回のICCCのようにオープンな科学の場で冷静な議論がもっとなされるべきではないでしょうか。


−− あまりにいい加減だった科学 −−

最近、ペンシルバニア大学法学部のJason S. Johnston教授が国連IPCC報告書を検証した第三者レポートが公開され話題になっています[13]。

『IPCCではCO2温暖化説に不都合な研究は否定もしくは無視され、合意が捏造された。ほぼ全ての主張が非科学的、若しくはいい加減に行われていた。』

という内容ですが、Johnston教授はIPCC報告書の数多くの問題点を個別に検証しており、法律の専門家が第三者検証を行った点で意味があると思います。IPCC報告書は“科学的コンセンサス”どころか、WWFやグリーンピースなど環境活動団体の広告、登山雑誌の記事、更には学生のレポートまで引用していたりと何でもありでしたが、客観的かつ厳密であるべき科学がこと地球温暖化に関してあまりに杜撰に行われていたことは、一科学者としてショックであり大変残念です。
私も仕事で大型プロジェクトの予算申請書や報告書をよく書いていますが、分厚いレポートの中に僅かなミスが見つかっただけでプロジェクト全体の信用が失われるため、いつも細心の注意を払い、同僚たちに何度も検証してもらっています。IPCC報告書では地球温暖化説の根底を揺るがす致命的な間違いが次々と発覚しているのに、脅威派は、

「3,000ページの文書に多少のミスは当たり前」

と強弁しており、正直、その神経が理解できません。

日本では“IPCC-Gate”についてあまり報道されていないようなので、杜撰な温暖化研究の一例として、NASAの人口衛星を使った南極観測と、温暖化業界の近況について紹介します。

NASAは温暖化研究で多額の予算を得ている研究機関の代表格ですが、2007年に、

『衛星観測によると、南極の温暖化が進行している』

と発表[14]、それを支持する観測結果として昨年、

『衛星観測で南極東部で数10億トンの氷が毎年失われていることが分かった』

と報告しています[15]。共にCO2温暖化説を強力に裏付ける観測結果として多くのメディアでも報道されましたが、これらの研究を調べてみると、あまりに短絡的な発表だったことが分かります。


Fig.4: 2007年NASA発表の南極地表の気温変動(左)。アラバマ大学が解析した南極の気温変動(左)。共に衛星観測。

Fig.4左図がNASAが'07年に発表した南極地表の温暖化を図示したものですが、年間0.05℃程のペースで南極大陸が急速に温暖化している様子が描かれています。この図だけ見ると南極大陸の温暖化は疑いないように思えますが、実はNASAが行った人工衛星からの温度観測は精度が低く、NASA自身も認めるように測定誤差が2〜3℃もあることが知られています。右図はアラバマ大学のチームが解析したNASAの人工衛星による南極の気温変化、誤差が大きいため何とも言えませんが、温暖化どころか僅かながら寒冷化しているようにも見えます。また南極観測隊による記録では、南極大陸は1960年以降に寒冷化していると報告されており[16]、結局のところ、NASAは誤差の大きい人工衛星の観測結果に都合の良い解析を加えて南極大陸の温暖化を“演出”したのでしょう。事実、NASAが2004年に発表していたグラフ(Fig.5)では南極大陸は寒冷化しており、莫大な研究費が南極大陸の気温まで変えてしまったのかもしれません。


Fig.5: 2004年NASA発表の南極の気温変動。衛星観測[17]。

NASAはどのような解析を行ったのか公開し、'04年と'07年で正反対の解析結果を発表した経緯を明らかにするべきですが、いずれにせよ測定精度3℃の温度計で0.05℃の年変化を断定するというのは、まともな科学者の仕事とは言えません。私の同僚は、James Hansen所長のデータ操作疑惑が持ち上がった際に[18]、

「人類を月に送った研究機関が、地表の温度もまともに測れないのか」

と呆れていましたが、もっともな感想。

『消失した南極東部の数10億トンの氷』についても、衛星観測の精度に疑問符が付きます。NASAは人工衛星GRACEを使った重力測定で南極の氷量を推定したのですが、微弱な重力変化を衛星から検出するのは技術的に難しく、GRACE観測の精度について研究者の間で疑問が噴出しており[19]、“あくまで補助的な観測手段”と見做されています。マスメディアはNASAの発表を鵜呑みにして、

「地球温暖化で、南極東部の氷が大量に溶け出している」

とヒステリックに報道していましたが、夏でもマイナス30℃の南極東部で氷が溶けるというのは、物理の常識を覆す大発見かもしれません。

次から次へと疑惑の出てくる温暖化業界ですが、二週間ほど前にも、

『(地球温暖化の主因はCO2であり)太陽活動の影響はほとんどないとの科学的な合意が得られている』

というIPCC報告書の記述に関して、IPCCで太陽活動を専門としていた科学者はJudith Lean博士一人だけであり、即ち“一人の合意”に過ぎなかったという疑惑が出ていました。酷いことにLean博士は太陽活動の影響を小さく見せるためデータ操作した上でグラフを引用しており、太陽観測を行ったDoug Hoyt博士やRichard C. Wilson博士ら宇宙物理屋が激しく抗議する事態に発展し、“Judith-Gate”と呼ばれています[20]。

一方、政界に目を移すと、ワシントンではオバマ政権と民主党が地球温暖化を既成事実化すべく、“Cap & Trade法案”の導入に血眼を上げています。

「現在のペースでCO2排出を続けると、アメリカ北東部はかなり温暖化する。今世紀末にボストンの夏の気温は14°F(7.8℃)上がりそうで、100°F(37.8℃)を越す暑い日がニューイングランド地方では年間20日、ハートフォードでは30日を超えるだろう。」

と盛んに宣伝されていますが[21]、アメリカ北東部の気温変化を表したFig.6を見る限り、過去100年間で人為排出CO2による有意な温暖化は観測されておらず、今世紀末にボストンの夏の気温が8℃近くも上昇すると言った根拠は全く以って不明です。


Fig.6: アメリカ北東部の夏の平均気温の推移(青線)、黒い棒グラフは人類のCO2排出量。

NASAの南極の話やJudith-Gateやボストンの謎の温暖化は氷山の一角に過ぎず、学界でもマスメディアでも『地球温暖化であれば何を言っても許される』という空気が蔓延していたため、気候変動の研究では他分野では考えられないあまりにいい加減な話が権威付けられ、まかり通っていました。IPCC報告書はウソと誇張のオンパレードだったわけで、第4次報告書の統括執筆責任者だったMurari Lal教授は、誇張や捏造が行われたのは、

「政治家たちに衝撃を与え、実際に行動を起こさせるためだった」

と弁明していますが[22]、とても科学者の発言とは思えません。プリンストン大学の物理屋のWilliam Happer教授によると、

「IPCCとは科学の仮面を被ったロビー団体」

だそうで、Happer教授はエネルギー省で合衆国のエネルギー政策を統轄していた頃の感想として、

「ブリーフィングにやって来る科学者に質問すると、普通は喜んで答えてくれる。ところが気候変動を研究している科学者は違った、彼らは宗教カルトのようだった。」

と述べていますが[23]、脅威派グループの反論を許さない異様な雰囲気は、私も肌で感じていました。
特に京都会議以降、“地球温暖化”と名の付くプロジェクトに莫大な予算がばら撒かれ、脅威派の圧力でCO2温暖化説に懐疑的な論文や予算申請が悉く却下されるようになった結果、少なからぬ懐疑派の研究者が表舞台から駆逐されました。温暖化を証明するために予算が付いた研究で、温暖化を否定する発表は出来ないですから、世の中は地球温暖化を裏付ける(ように見える)情報で溢れてしまいました。
欧米では昨年11月のClimategate事件を発端にIPCCや温暖化のウソが連日のようにニュースで報道されたため、状況は一転しています。日本のマスメディアも、地球温暖化の科学が現在進行形で崩壊していることを、ちゃんと報道すべきではないでしょうか。


−− 脅威派の逆襲 −−

今年に入り、IPCCのリードオーサー(代表執筆者)の中からも公然とIPCC批判を行う研究者が続出し、CO2温暖化説を否定する論文も学術誌に掲載されるようになりました。学会は少しずつですが、健全さを取り戻しつつあります。
アメリカでは脅威派研究者の論点を摩り替えての反論や、懐疑派研究者への政治力を使った個人攻撃が目立つようになりましたが、日本の状況と似ています。先月は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された『気候変動における研究者の信頼性』という論文[24]が議論を巻き起こしていました。意訳すると、

『懐疑派の研究者はろくに研究もせず、市民を惑わしている』

という内容で、懐疑派を“denier(ホロコースト否定のナチス支持者を暗に指す言葉)”と呼んでいますが、科学的にナンセンスな批判だらけの文章を権威あるPNASが掲載したことに分野外の研究者たちも呆れ果てています。科学者なら科学の舞台で勝負すべきで、他の研究者への陰湿な誹謗中傷ではなく、真実の追究に努めるべきでしょう。PNASに掲載された論文の著者の一人James W. Prall氏はトロント大学のシステムプログラマーだそうで、彼は“懐疑派ブラックリスト[25]”なる物を編纂しています。CO2温暖化説に否定的な論文を発表したり嘆願書に署名した研究者の氏名、所属、国籍、ホームページなどを丹念に調べ上げ、ご丁寧にもランク付けした上でトロント大学のサーバーで公開。“ブラックリストに乗ると研究費が取れなくなる”とも噂されていますが、懐疑派の研究者を晒し上げ名声を傷つけることを目的としてリストが配布されているのは間違いなさそうです。尤も、私の同僚は、

「政治的圧力に屈せず、真実を貫き通した誇り高き科学者たちのリストだ」

と言っていますが。

不祥事が相次ぎ地球温暖化は科学として破綻する一方、学会や政界はまだまだ脅威派が牛耳っており、懐疑論を政治的に潰そうと躍起になっているのはまるで宗教戦争のようです。国連事務総長が『温暖化懐疑派の声拒絶』を訴えたり[26]、Climategate事件で炎上したCRUの調査を行ったイギリス議会は僅か一日のヒアリングだけで、

「(CRUの科学者らのデータ不正を示す)証拠は見つからなかった」

と潔白を謳い上げていますが[27]、証拠が見つからなかったのか、見つける気がなかったのか不明。同じくCRUの詳細な調査を行ったはずのRussell卿も、

「情報公開の拒否など問題はあったものの、CRUの科学者の不正は見つからなかった」

と結論付けただけで[28]、CRUから流出したメール(内部告発とも言われています)で明らかになった、以下の疑惑について突っ込んだ追及はなされていません。

 ・CRUの科学者らは、気温の生データや解析手法の公開を頑なに拒否していた。
 ・情報公開法の抜け道を模索し、データの不正操作の相談を行っていた。
 ・情報公開請求を受けたらデータを消去すると言っており、実際に消去してしまった。
 ・懐疑派への攻撃や圧力が行われていた。
 ・60年代以降の気温低下を隠すトリックについてメールでやり取りがあった。
 ・気温低下を隠すデータ操作を行うプログラムが見つかった。

現実問題としてCRUのPhil Jones所長は関係者に証拠隠滅の依頼をしたのであり[29]、世界中で使われているCRUの世界気温のデータベースの元となった過去160年間に亘る気温観測データも消去されてしまいました。アリバイのように怪しげな補正の加えられたデータベースだけは公表されたものの、

「データの補正方法を記したメモは紛失した」

とPhil Jones所長が言っている以上、その信頼性はネス湖のネッシーといい勝負かもしれません。
IPCC報告書の検証を行ったオランダ環境アセスメント局も、IPCCの多数の過ちを認めたものの、

「地球温暖化は進行しており、IPCC報告書の結論は揺らがない」

と言っていますが、現実には地球温暖化は止まっており、“禊払い”を真に受ける人も少ないでしょう。学会の権威や国家権力を使い、

「地球温暖化の研究者は正直者だから信用せよ」

と言えば言うほど、温暖化研究が市民の支持を失っているのは、何とも皮肉です。Climategate事件でアメリカ市民の多くがCO2温暖化説に呆れており、IPCC-Gate発覚前の今年1月の時点ですら、

「地球温暖化は自然変動、若しくは地球は温暖化していない」

と答えた市民が45%に上っていました[30]。その後の一連のIPCCの不正発覚で、現在では市民は地球温暖化に対して完全に無関心になっています。昨日、NYが暑いというニュースが流れていましたが[31]、“ヒートアイランド現象で気温が上がった”と正しく伝えており、地球温暖化のことは一言も出て来ず、時代の変化を感じました。
CO2温暖化説崩壊への予防線か、最近、アメリカ環境保護庁はオバマ政権の支持を得て、

「CO2は有毒ガスだから規制する」

と言い出しましたが[32]、濃度が100倍になると頭痛を引き起こすものの、一般的な理解では“CO2は毒性の非常に弱いガス”。
国連もIPCCを利用したグローバルガバナンスに見切りをつけたのか、『生物多様性と生態系に関する政府間プラットフォーム(IPBES)』なる怪しげな組織を立ち上げ[33]、次の資金源として注力しているようです。
地球温暖化やCO2になると、どうしてこうもウソや出鱈目がまかり通ってしまうのか理解に苦しみますが、もはや科学ではなく政治ですから、温暖化論争の帰着は世論が決めることになるでしょう。欧米の市民の間ではCO2温暖化説は急速に支持を失っていますが、日本ではマスメディアがClimategateやIPCC-Gateの実態をほとんど報道していない上に、脅威派の研究者が事件の矮小化を図ったこともあり、地球温暖化への国民の支持は相変わらず高いまま。日本は毎年1兆2千億円もの温暖化対策に加えて、発展途上国への温暖化対策支援として2012年までに1兆7,500億円を約束。京都議定書を遵守するには同年までに9,400億円の排出枠購入が必要ですし[34]、前総理の“25%公約”に至っては、

『仮に国内で13%削減できたとしても、1兆7千億円の排出枠購入が必要』

とドイツ銀行が試算していましたが、感謝すらされない経済援助を日本は本気で続けるのでしょうか。地球温暖化で巨額の税金が無駄にされる一方、重要な基礎研究が仕分けされた話を聞くと、一科学者として何とも虚しい気分にさせられます。
日本は大丈夫なんだろうか。地球の裏側からですが、心配しながら見ております。


References

[1] http://www.heartland.org/events/2010Chicago/
[2] http://www.heartland.org/environmentandclimate-news.org/ClimateConference4
[3] S. Mosher and T.W. Fuller, 『地球温暖化スキャンダル(渡辺正訳)』, 日本評論社 (2010).
[4] http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8511670.stm
[5] S. Solomon et al., Science 327 (2010) 1219.
[6] M.R. Manning et al., Nature Geoscience 3 (2010) 376.
[7] 槌田敦, 日本物理学会誌 62 (2007) 115.
[8] L.K. Fenton, P.E. Geissler and R.M. Haberle Nature 446 (2007) 646.
[9] 宮原ひろこ, ICRRニュース 72 (2010) 7.
[10] http://scienceandpublicpolicy.org/images/stories/papers/originals/surface_temp.pdf
[11] http://www.ncdc.noaa.gov/oa/climate/research/Peterson-Vose-1997.pdf
[12] http://www.youtube.com/watch?v=kkL6TDIaCVw
[13] http://ssrn.com/abstract=1612851
[14] http://earthobservatory.nasa.gov/IOTD/view.php?id=8239
[15] http://earthobservatory.nasa.gov/Newsroom/view.php?id=42399
[16] P.T. Doran et al., Nature 415 (2002) 517.
[17] http://earthobservatory.nasa.gov/IOTD/view.php?id=6502
[18] http://www.telegraph.co.uk/comment/columnists/christopherbooker/3563532/The-world-has-never-seen-such-freezing-heat.html
[19] K.J. Quinn and R.M. Ponte, Geophysical Journal International 181 (2010) 762.
[20] http://climaterealists.com/?id=5910
[21] http://globalwarming.house.gov/impactzones/newengland
[22] http://www.dailymail.co.uk/news/article-1245636
[23] http://www.dailyprincetonian.com/2009/01/12/22506
[24] http://www.pnas.org/content/early/2010/06/04/1003187107.abstract
[25] http://www.eecg.utoronto.ca/~prall/climate/skeptic_authors_table.html
[26] http://www.guardian.co.uk/environment/2010/feb/24/ban-ki-moon-un-reject-sceptics
[27] http://www.foxnews.com/scitech/2010/03/31/climate-gate-inquiry-largely-clears-scientists/
[28] http://www.cce-review.org/pdf/FINAL%20REPORT.pdf
[29] http://eastangliaemails.com/emails.php?eid=893
[30] http://environment.yale.edu/climate/files/Climategate_Opinion_and_Loss_of_Trust_1.pdf
[31] http://hosted.ap.org/dynamic/stories/U/US_HOT_WEATHER_HEAT_ISLANDS?SITE=WSPATV&SECTION=NATIONAL&TEMPLATE=DEFAULT
[32] http://www.epa.gov/climatechange/endangerment.html
[33] http://ipbes.net/
[34] http://president.jp.reuters.com/article/2010/01/09/DF1CF1CA-FC15-11DE-9764-ADF03E99CD51.php

科学史上最悪のスキャンダル

こちらはMixiの日記に12/5に載せたものです。

−− 科学史上最悪のスキャンダル −−

先月、イギリスのある著名な科学者の千通を越すe-mailや研究データ・プログラムが何者かによってリークされ、欧米のメディアを駆け巡っています。リークされた情報が発端となり地球温暖化を巡る世界規模の不正が暴かれ、イギリスとアメリカの議会も重い腰を上げ調査に乗り出しました。誰が名付けたのか、事件は“Climategate”と呼ばれています。
リークされたメールは、地球温暖化研究の世界的権威Philip Jones教授のもの、彼はイギリスのEast Anglia大学・気象研究所(CRU)所長です。問題となっているメールは欧米の新聞などで読むことができますが、要点を挙げると、
・CRUが行っている世界各地の気温観測の結果を多数の科学者で不正操作し、温暖化を演出していた。
・40人以上の著名な科学者で学会誌の査読班を作って主要ジャーナルを乗っ取り、温暖化を否定する論文を却下していた。
・イギリス気象庁やBBCを味方に付け、IPCCすらコントロールしていた。

Foxニュースでは“温暖化に否定的な研究者の博士号を取り消すよう大学に圧力をかけていた”とも報じていましたが、やりたい放題だったようです。Climategateで最も深刻なのが、データ不正。CRUの観測結果は国連IPCCで地球温暖化を示す最も重要なデータとして採用されていますが、Jones教授のメールによると、
“MikeがNatureに載せた論文で使ったトリックを使い、私は1961年以降の平均気温の温度低下を隠した。”
MikeとはPennsylvania州立大学のMichel Mann教授、Al Gore元副大統領の盟友でIPCCの超大物、20世紀の急激な温暖化を論文に発表し世界中の注目を浴びた男です。メディアの追及に対し、渦中のMann教授は、
“トリックとはうまい方法という意味で、不正を行ったわけではない”
と弁明していますが、調査しようにもCRUの原データは消去されてしまった模様。データの消去自体、情報公開法への重大な違反ですが、幸か不幸かClimategateで流出したプログラムから彼らがどんな“トリック”を使ったのか知ることが出来ます。
 yrloc=[1400,findgen(19)*5.+1904]
 valadj=[0.,0.,0.,0.,0.,-0.1,-0.25,-0.3,0.,-0.1,0.3,0.8,1.2,1.7,2.5,2.6,2.6,2.6,2.6,2.6]*0.75
これは20世紀の気温をグラフ化する際、CRUの副所長(Keith Briffa教授)が使ったスクリプトの核心部分。1行目で1904〜94年を5年ずつに区切り、各区間の気温(実測値)に2行目の数字を加算しています。即ち1904〜24年は加算なし、1929〜49年は(温暖期なので)温度を引いて低く見せ、その後は徐々に気温を底上げし1979年以降は1.95度(2.6×0.75)も下駄を履かせてます。20世紀に気温が急激に上昇したのは二酸化炭素のせいではなく、イギリスの片田舎の密室で行われた歪曲のため。この部分を取り除くと、過去100年間で地球は寧ろ寒冷化していたそうで。
不正は他にも次々と見つかっています。現在よりずっと気温の高かった中世温暖期を“なかったこと”にしていたり、大昔の気温を見積もる際に暑かった年を統計から外したり・・・
IPCCではCRUの“急激な温暖化”ばかり注目されていますが、氷床コアや木の年輪、衛星を使った測定では有意な温暖化は観測されておらず、特に二酸化炭素による温室効果の一番の証拠となる“10 km上空の温度上昇”は気球観測によって明確に否定されています。アメリカ航空宇宙局(NASA)の気温観測は地球温暖化を支持していますが、後述するようにNASAもデータ不正が発覚しており信用に値しません(NASAは単純なミスだと主張)。
実際のところClimategateは氷山の一角に過ぎず、世界中で“魔女狩り”が始まっています。例えば次のグラフは、ニュージーランドの気温変化。



グラフ(上)はニュージーランド水圏大気研究所が発表していたもので、20世紀に急激に温暖化していますが、別の科学者がデータを再調査したところCRUと同種の不正が見つかり、実際の気温変化はグラフ(下)だったというわけ。
そして下のグラフは、Global Historical Climatology Network(GHCN)が公開している世界各地の気温データのうち、オーストラリアの気温観測ステーションの一つ。GHCNの気温データはIPCCでも公式採用されていますが、オーストラリアの科学者が消されずに残っていた現地の観測ステーションの生データを調べたところ、GHCNで公表されている“100年間で1.2℃の温暖化(赤線)”どころか、本当は0.7℃も寒冷化(青線)していたことが分かり。
何者かがデータに細工したようです。



GHCNは南極の平均気温を算出する際にも顕著な温暖化を示す一つの観測ステーションのデータだけを採用し、温暖化を否定する他のステーションのデータは破棄していたそうで。
疑惑はアメリカにも飛び火し、Obama政権の科学技術顧問John HoldrenはCRUの不正への関与が疑われていますし 、天下のNASAも気温データの操作が指摘され訴訟に発展しそうです。NASAは過去のアメリカの気温を不当に低く改竄したり 、昨年、『観測史上、最も暑い10月だった』と発表した際は、10月の気温データに9月のものを混ぜていたことが発覚しています。
またアメリカ海洋大気圏局(NOAA)は全米各地に気温観測ステーションを設置していますが、市民が調査を行ったところ、大平原や荒野に設置されているはずのステーションがいつの間にかアスファルトの駐車場やエアコンの排熱口の近くに移動されており(下の写真)、全米のステーションのなんと89%が不適切な場所に置かれていたそうで。



アメリカが急激に温暖化したのは、観測ステーションを熱源の近くに移動させたから!?
NASAもNOAAも、原データの公開を一切拒否しています。もはや個人レベルの捏造ではなく、研究機関・業界がグルになって不正を働いているとしか思えません。出るわ出るわで、IPCCは“国際ペテン師学会”と名前を変えるべきかも。
同僚の一人は、

“Intergovernmental Panel of Cons and Criminals にすれば、IPCCのままで済む”

と、きっついアメリカンジョーク。温暖化の恐怖を散々煽ってきた学会とリベラル派の政治家はClimategateの火消しに躍起になっていますが、今回は揉み消すには話が大きくなりすぎたかもしれません。Copenhagenの会議は始まったものの、京都議定書やIPCCが最大の拠り所としたCRUの観測結果はもはや極めて疑わしく、世界のあちこちで不正が見つかっている状況で、二酸化炭素削減を話し合う意味はあるのでしょうか?
East Anglia大学はCRUの温暖化観測で注目され20億円以上の研究費を獲得していますし、NASAに至っては温暖化研究で年間1千億円もの予算が下りています。Climategateは、良心の呵責に耐え切れなくなった内部の科学者がリークしたのではないかと噂されていますが、人生を棒に振ると知っていて、彼(彼女?)はどんな思いで告発に踏み切ったのでしょう・・・
イギリス・アメリカの議会は調査を開始しましたが、今度こそ真実を明らかにしてもらいたいものです。

−− 地球温暖化とは何だったのか −−

大気中の二酸化炭素濃度と地球温暖化の間に相関があることは古くから知られており、Al Goreの映画でも強調されていましたが、実際はどうなのでしょう?
次の図は昨年の日本物理学会誌(vol.62)に掲載されたグラフで、寒冷期が終わり地球が温暖化した1970年代以降の二酸化炭素濃度と世界平均気温の変化を比較しています。



確かに相関はありますが、よく見てみると気温変化(赤)が二酸化炭素の濃度変化(黒)に1年くらい先行していることが分かります。従って、二酸化炭素が地球の温暖化を引き起こしたのではなく、因果関係はその逆で、
『地球の気候変動が大気中二酸化炭素の濃度変化を引き起こしている。』
日本物理学会誌の記事にも書かれていましたが、海水中には大量の二酸化炭素が溶解しており、気温の上昇に伴って海水中の二酸化炭素が大気中に放出されたと理解すべきでしょう。ソーダを温めると炭酸が抜けるのと同じ原理です。
そもそも人間起源の二酸化炭素排出量は、自然界全体の僅か2〜3%にしか過ぎません。二酸化炭素が増えると濃度に比例して森林・海洋への吸収も増加するため、
『産業革命以降、人類が排出した二酸化炭素が大気中に蓄積されて…』
というIPCCの主張は間違い。正しくは“炭素循環”で考える必要があり、濃度に関わらず毎年30%の二酸化炭素が自然界に吸収されるため、1年前に排出された二酸化炭素は49%(0.7×0.7)、10年前に排出された二酸化炭素に至っては現在では2%(0.7×0.7×0.7…)しか大気中に残っていません。従って人間が排出を続けても大気中の二酸化炭素の総量は無限に増え続けるわけではなく、年間排出量の高々2年分に収束します(等比級数の和)。
それでは、地球の気候変動を引き起こしているのは何なのでしょう?
答えは、空を見上げると見つかります。



上の図はOregon大学のグループの論文、過去100年間の日射量と北極の気温変化をプロットしたものですが、非常に良く一致しています。
『地球の気候変動の主因は太陽活動である』
その結論を、私も支持します。
地球温暖化とは、一部の科学者が研究費を取るため“二酸化炭素で地球が温暖化している”と言い出し、環境団体や原発推進派が乗っかり、マスコミが恐怖を煽り、政治家が宣伝に利用して既成事実化された。それに環境技術で先行するヨーロッパ各国、権力を強化したい国連、そして排出量取引で大金を手にする途上国が飛び付いた。一番損したのは日本で、“排出枠”とやらを購入するのにチェコやウクライナに数百億円もプレゼントしてますし、京都議定書を遵守するため今後5年間の排出量取引で最大1.7兆円もの富が日本から流出する。ストーリーは筋書き通りに進みましたが、この10年間、地球は寒冷化してしまった・・・
『人間が排出した二酸化炭素による地球温暖化は科学的根拠に乏しい』
アメリカでは“Oregon Petition”に3万人を越す科学者が署名していますし、私も同僚たちと共にサインしました。
“王様は裸だ!”
そろそろ叫ぶ時ではないでしょうか。

※地球の気候変動の原因には諸説あり、宇宙線による雲生成などが有力な説として注目されています。ただ、少なくとも太陽活動(黒点数)と地球の気温との相関は断定できると思います。

科学史上最悪のスキャンダルの続き

こちらはMixiの日記・掲示板に1/27に載せたものですが、転載します。

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昨年、地球温暖化を巡る不正・捏造疑惑である“Climategate事件”について書いたところ、友人から早く続きを書けとせっつかれています。科学に携わる者として科学不信につながることを日記にするのは大変気が重いのですが、真実を解明し今後の教訓にする必要があるとの思いから、再びペンを執ることを決めました。前編はCalifornia大の友人が以下のBlogに要約し載せてくれました。

http://www.chem-station.com/blog/2009/12/-climategate.html


昨年11月に勃発したClimategateで地球温暖化を巡るデータ不正・捏造は世間の知るところとなりましたが[1]、今年に入ってClimategateは下火になるどころかあちこちに飛び火しています。イギリスのTimesが先週、
『ヒマラヤの氷河が2035年までに溶けてなくなる可能性が高い』
という国連IPCCの報告が一人のインド人の根拠のない憶測だったことをすっぱ抜きましたが[2]、今週は、
『温暖化で台風や洪水等の自然災害が多発する』
というIPCCの警告に科学的根拠がなかったことを、またまたイギリスのTimesがすっぱ抜いて話題になっています[3]。IPCCはこのウソに2008年の段階で気付いていながら、訂正せずにずっと黙っていたそうで、極めて悪質。また、IPCCの代表執筆者の一人だったJohn Christy教授(Alabama大学)は、IPCCが地球温暖化の恐怖を煽るため科学を平気で歪曲していたことをCNNニュースで告発していましたし、IPCCは“国際ペテン師学会”と改名すべきかもしれません。
実際のところIPCCの報告書は科学的な裏付けのない“温暖化の証拠”で溢れており、第二・第三の“ヒマラヤ”になりそうな事例を挙げると、
・地球温暖化が原因とされるツバル水没は、防波堤の役目を果たしてきたサンゴ礁がゴミ廃棄で壊滅したことが原因であること[4]。
・北極の氷の減少は地球温暖化ではなく海流(熱塩循環)の周期的な変化が原因であるとNASAのジェット推進研究所(JPL)のチームが突き止めており[5]、チームの予測通り2007年を境に海氷面積は増加に転じたこと[6]。
・キリマンジャロの氷河の消失は130年前の気候変動による降雪量の減少が引き起こしたのであり[7]、温暖化が直接の原因でないことをタンザニア気象局も認めていること[8]。
アマゾンの熱帯雨林の40%がなくなる、アフリカの農業が壊滅的な打撃を受ける・・・
IPCCが実しやかに捏造した話は他にもたくさんあります。最近はリベラル系メディアのCNNですら、
“本当に地球が温暖化しているのか再調査する必要がある”
と懐疑的な姿勢に転じていますけど、私に言わせると、気付くのが遅い。



上のグラフは地球平均気温の変化を表したもので(20世紀平均からの偏差)、ピンクはHadley CRUT(イギリス気象局とEast Anglia大学・気象ユニット)、青はUAH MSU(Alabama大学)の公表しているもの、共にIPCCの最重要指標です。グラフからここ10年、地球気温は低下の一途を辿ったことが分かりますが、昨冬に続いて今年もアメリカやヨーロッパ、アジアは記録的な大寒波に襲われており、大量の死者も出しています。IPCCの発表を信じると、
『地球は20世紀に0.6℃温暖化した』
そうですから、ここ10年で0.3℃の寒冷化は確かに急激な気候変動だったわけです。尤も、『20世紀に0.6℃温暖化』も、これから述べるように大ウソであった可能性が極めて高いです・・・

Climatagete事件で真っ先に炎上したのはイギリスのEast Anglia大学・気象ユニット(CRU)でしたが、本当の震源地は、Harryというプログラマー(学生?)の書いたメモ[9]を発端に明らかになりました。Harry君はCRUで世界中の気温観測ステーションのデータを整理していたようですが、Climategateで流出したメモによると、
“何てこった!(CRUの)データベースには何百というダミーのステーションが登録されている。しかも同じステーションのデータがあちこちに何度もコピーされている。こいつは糞ったれだ!”
彼はきっと、見てはいけない物を見てしまったのでしょう。CRUの使っていた気温データの多くはアメリカ海洋大気圏局(NOAA)から提供された物だったため、疑惑の目は必然的にNOAAに向けられましたが、蓋を開けてみるとNOAAこそ地球温暖化詐欺の巨大な震源地だったわけで・・・

NOAAは世界中の6,000基もの気温観測ステーションを使って(ステーション自体は13,000基存在)、地球の気温データベースを作成しており、NOAAのデーターベース(GHCN)はCRUやNASA・GISS(米国航空宇宙局Goddard宇宙飛行センター)など世界中の研究機関が利用しています。ところがメディアでも報道されているように、NOAAは温暖化を示す一部のステーションのデータだけを公表し、温暖化を示さない大多数のデータは破棄していたことが発覚。



上の図(青線)はNOAAの公表している世界の気温のデータ数(=統計に入れられているステーション数)ですが、1980年以降、急激に減少しています。温暖化を示しているステーションだけを選別したのですから、地球気温はステーション数に反比例して急上昇しています(ピンク)。
詳細に調べてみると、1963年にアメリカでは1,850基の気温観測ステーションが稼動していましたが、80年代以降、データとして利用されるステーションはどんどん減り、2007年には僅か136基のみが稼動している状態でした。生き残ったステーションも都市化・温暖化の起きている地域に極端に集中しており、例えばCalifornia州はSan Francisco空港と、Los Angelesのダウンタウンとビーチに設置された合計4基のステーションだけ、Hawaii州に至っては飛行場に設置されたたった1基のステーションしか使われていません。



アメリカ国外でも、例えば高山性気候で寒冷化の進むボリビアの気温観測ステーションのデータは1990年を境に統計から外されており、それにも拘らず昨年の世界温暖化マップでボリビアは顕著な温暖化を示しています(上図の青い四角)。20年間もステーションが稼動していないのにどのように気温を測定したのか不思議ですが、調べてみるとボリビアの気温は、なんと1,200 km離れたペルーのビーチとアマゾンのジャングルに設置されたステーションの物がコピーされていたそうで。カナダの気温観測ステーション数も、600基から2009年には35基にまで不自然に減っていますが、温暖な地域のステーションのデータが寒冷な内陸部にそのままコピーされ使われていて(上図の緑の四角)。プログラマーのHarry君が見つけて驚いたのは、きっとこのことだったのでしょう。
観測ステーションの廃止や測定機器の故障というのならまだ分かりますが、データ上、存在しないはずのステーションには今でも観測員が常駐しNorth CarolinaのNOAA本部へデータを送り続けており(無人の物もあります)、どうやら温暖化を示さないステーションのデータはNOAA内部で蒸発してしまうようです。IPCCの次期レポートには、
『地球温暖化で観測データが蒸発する』
と載るのは間違いなさそうですが、因果関係は逆。

他にも、NOAAは数々の不正を行っていたことが指摘されています。前編にも書きましたが、市民が調査を行ったところ、NOAAの気温観測ステーションはエアコンの排熱口の近くやアスファルトの駐車場の上など暑い場所に移動されており、全米のステーションのなんと89%が不適切な場所に置かれていたことが発覚しています[10]。
また、NOAAの公表している気温データ自体、不自然な補正の施されていることが多くの研究者によって指摘されています。NOAAはステーションの原データではなく、標高や天候などローカルな要因を“補正”したものを公表していますが、どのような補正を行っているのか公開していませんし、原データの公開については頑なに拒否していました。この補正が科学的手法だったのか、それとも完全な捏造だったのか、他の科学者は知る由もないわけで。
NOAAの補正に疑問を抱いた研究者らは、幾つかの温度観測ステーションに乗り込んで原データの調査を行ったところ、驚くべきことが分かりました。



上のグラフはCalifornia州Davis市の温度観測ステーションの原データ(青)と、NOAAが公表している補正後のデータ(赤)。原データでは長期的な寒冷化が見られますが、補正後のデータではなんと顕著な温暖化が現れています。オーストラリアやニュージーランドのデータも同じで、見付かった原データはいずれも温暖化を示していませんでした。


上図はニュージーランドの気温変化、上がGHCN発表(NOAAの補正が施されたもの)、下が生データ。 下図はオーストラリアのDarwin空港の近くのステーションのデータ、赤がGHCN発表で、青が生データ。



(恐らく証拠隠滅のため)原データの多くが既に破棄されており断定はできませんが、どうやら地球温暖化はNOAAの“謎の補正”によって生み出された物であり、どのようなクライテリアで補正を行ったのかNOAAが公表しない限り、本当に地球温暖化が起きていたのか評価出来ません。 NOAAの観測データはCRUやNASA・GISSが発表している地球気温のベースにもなっており、
『200X年は観測史上X番目に暑かった』
というNASAの発表も、もはや全く信用できないわけです。
ではNOAAだけが悪者で、CRUやNASA・GISSは騙されていただけかというと、どうやらそれも違いそうです。Phil Jones教授などCRUの連中は科学ジャーナルの査読プロセスを政治力で支配し、温暖化に否定的な論文の掲載を拒否し“懐疑派”の粛清を行っていましたし、イギリス気象局(UK Met Office)と共謀し温暖化に不都合なデータを隠蔽・改竄・破壊していたこともメディアで報じられています。NASA・GISSのJames Hansen所長も“補正”や原データについての情報公開請求を悉く無視していましたから(情報公開法違反で訴訟になっています[11])、結局、みんなNOAAのデータ不正・捏造を知った上で利用していたのでしょう。
温暖化研究でNOAAは年間4億ドル、NASAに至っては年間13億ドルもの助成金を得ています。 温暖化の警鐘を鳴らすほど得る物も大きいわけで 、IPCCを含め業界の中枢部が金で完全に腐っていたのでは、というのが私の印象です。
地球温暖化がここまで大きく叫ばれるのはもちろん利益を得ている人間がいるからで、ノーベル平和賞のAl Goreは温暖化ファンドや原発絡みで1億ドルも荒稼ぎしていましたし、IPCCのRajenda Pachauri議長も温暖化ビジネスで一財産築いており[12]、メディアによって金の流れが明らかにされれば地球温暖化詐欺の構図が自ずと見えてくるのではないでしょうか。
先週の欧州議会ではイギリス選出のGodfrey Bloom議員が温暖化詐欺をブラックユーモアで痛烈に批判しており、ニュースを見ていて思わず笑ってしまいました。

http://www.youtube.com/watch?v=2TOFe85cmAE&feature=player_embedded

Obama政権は“グリーン・ニューディール政策”とやらに1,500億ドルもの巨費を注ぎ込もうとしていますし、ヨーロッパ各国も多額の税金を温暖化対策に費やしています。日本も産・官・学を挙げて二酸化炭素削減に突っ走ろうとしていますし、CRU、IPCC、NOAA、NASA・GISSなど、温暖化研究の頂点に君臨する研究機関が共謀し世界中を騙していたのは、まるでオペラ『ファルスタッフ』のフィナーレのよう。

“Tutto nel mondo è burla!(世の中すべて冗談さ!)”

Climategateに限らず、科学の世界ではデータ不正・捏造が後を絶ちませんが、それらの多くは個人の不正に過ぎず、今回のClimategateは業界がグルになって悪事を働いていたという点で科学界に与える後遺症は測り知れないでしょう。科学に携わる者としてこれ程の無力感に打ちのめされたことはありませんが、科学の不正は科学によって正すしかないことは認識しているつもりです。

いずれにせよ、今後暫くはFBIとScotland Yardに頑張ってもらうことにして、私はこの辺でペンを置きたいと思います。


References:
[1] S. Mosher and T.W. Fuller, Climategate The Crutape Letters, Amazon Digital Services (2010).
[2] http://www.timesonline.co.uk/tol/news/environment/article6991177.ece
[3] http://www.timesonline.co.uk/tol/news/environment/article7000063.ece
[4] 小林泉, 国際開発ジャーナル2008年8-11月号『水没国家ツバルの真実』.
[5] J. Morison et al., Geophys. Res. Lett. 34 (2007) 07604.
[6] http://www.ijis.iarc.uaf.edu/jp/seaice/extent.htm
[7] T. Mölg et al., Int. J. Climatol. 28 (2008) 881.
[8] http://www.wmo.ch/pages/prog/wcrp/pdf/3.7_Adosi_Resilience_JSC-28_Afr_28.03.2007.pdf
[9] http://www.anenglishmanscastle.com/HARRY_READ_ME.txt
[10] http://scienceandpublicpolicy.org/images/stories/papers/originals/surface_temp.pdf
[11] http://pajamasmedia.com/files/2009/11/DOC112409-001.pdf
[12] http://www.telegraph.co.uk/news/6847227/Questions-over-business-deals-of-UN-climate-change-guru-Dr-Rajendra-Pachauri.html

※以下のページで、NASA・GISSが公開している気温観測ステーションを調べることが出来ます。例えば世界地図で日本をクリックすると、日本に点在する観測ステーションの多数が1990年を境に統計から外されていることが分かります。ステーション自体は存在し続けており、(恐らく都市化による温暖化を強調するため)アメリカのステーションと同様の恣意的な選択がなされたわけです。

http://data.giss.nasa.gov/gistemp/station_data/